先日、髪の毛を切りました。
タクミさんは、私が髪の毛を切っても全然気がつきません。背中まであった髪の毛を肩まで切っても全く気がつかない。だけど、長い結婚生活の中で「美容院に行った妻が帰宅したときに何も反応しないのはあまりよろしくないらしい」と学んだタクミさんは、夫婦共有のGoogleカレンダーに「さくら:美容院」と書いてあった日には妻に「髪の毛切ってきたの?」と言えばいい、ということに気がついてくれて、最近は私が美容院に行くとそれなりのリアクションを取ってくれていました。
ところが、その日は急に思い立って美容院に行ったので、私はGoogleカレンダーに「さくら:美容院」と書いていませんでした。当然タクミさんは無反応なので、私から切り出してみます。
「今日、髪の毛切ったの。どうかな?」
「いいと思うよ」
ん。この反応は髪の毛切ったことに気づいてた? だって、もしまったく気がついていないなら「え、そうなんだ?」とか「気がつかなかったごめん」とか「カレンダーに入ってなかったけど(←一番ありそうな返答)」とかワンクッションあってからの「いいと思うよ」になると思うんだけど。
「もしかして切ったことに気がついてた?」
「うん、そうかなって思ったけど。よくわかるね」
いやだって、以下略。
「気がついてくれてたなら言ってくれたら嬉しかったな」
(この辺、文章にすると私が大変ウザい感じに見えると思いますが、私は日々の細かい自分の心情を彼に伝える習慣があります。診断が出た後に2人で決めたことです)
「帰ってきたときに、さくらは今日髪の毛切ったのかな?って思ったんだけど、もし口に出して違ったら困るし、実際に切っていて感想を求められても困るし、さくらが望むことを言えなくて傷つけたら嫌だし、と思っていたら別の話になったから言わなかった」
おおお。なるほど。そういう思考か。私はそのときタクミさんの気持ちがわりとすんなり理解できました。最近、自分でよく似た経験をしていたからです。
年末に仕事で海外からのゲストをアテンドする機会がありました。そのときの私はちょっとした雑談ができなくて無口になりがちでした。通常だったら、外に出たら「寒いですね〜」とか、朝会ったら「その服かわいい!」とか、どんどんお喋りするのだけど、英語でさらさらコミュニケーションがとれるか不安だった私は脳内で一度会話シュミレーションをしてみているうちに、機を逸して結局喋れなかった、ということがなんどかあったのです。
これか。タクミさんはこれが日常か。そうすると、私の「タクミさんは私が髪の毛を切っても全然気がついてくれない」という認識は必ずしも正しいとは限らなくて「気がついているけどうまく口に出せないうちに翌日になったのでイマサラ言えない」ということも、あるのかもしれないのね。