タクミさんはASDです。自分のモノサシしか持っていません。なので悪気なく人を傷つけてしまうことがあります。
ある夜。終電で帰ってきたタクミさんのために、私はいったん寝ていたところを起きて夕食を用意しました。普段は用意しておいて寝ちゃうんだけど、揚げ物だったから作り立てを食べさせてあげたかったの。
「ぐっすり寝てたのによく起きれるねww」
私を見て笑い出すタクミさん。
そりゃないよね。
そりゃないでしょう。そこは「ありがとう」っていうところでしょう。
タクミさんは「ぐっすり寝ていたのに起きて寝ぼけながらごはんを作っているさくら」がおかしくて笑っています。「寝ていたところをわざわざ起きてタクミさんのためにごはんを用意したらそのタクミさんに笑われるさくら」が傷つくことはわからないのです。
こういうことはちょいちょいあって、タクミさんは私がなぜ傷つくかわからないし、説明しても伝わらないので何度も繰り返される。傷つき損なので、ムダに傷つかないよう普段はうまく心に方向性のあるバリアを張って受け流すようにしているんだけど、寝起きや体調不良時にうっかりくらってしまいます。
悪気がないって、罪だわ。悪気があるなら、私の何かが気に入らなくて意地悪をしているなら、誤解を解いて改めてもらうこともできるのに。