愛した男はADHDでした。

はじめまして、さくらです。結婚10年めで、夫タクミさんがADHDと判明。日々の迷いと決意を綴ります。

ASD夫は外国人というより異星人。

今日は例え話です。

 

新井素子さんの「星へ行く船」というSF小説の中に、「異星人とコミュケーションを取るために大変苦労する人類」というのが出てきます。

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その異星人、見た目はなにかの結晶のような、固そうな物質。顔もない。手もない、足もない。そして刻々と形を変えていきます。どうやらその形が彼らのコミュニケーション手段。丸い場合は喜んでいる? 四角い場合は怒っている? いや、そもそも喜怒哀楽っていう感覚がその異星人にあるのかもわからない。

ああ、遥か昔、日本が鎖国していたときにアメリカから黒船がきたとき。互いにまったく言葉が通じなかったとしても、まだそのときのほうがマシだった。長旅で疲れたペリーに布団と食べ物を渡して、ペリーがそれを受け取り、「サンキュー」って言ったらお礼の言葉はわかる!

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私がこの小説を読んだのはもう20年前なので、細かいところは全然違うと思いますが、とりあえず何がいいたいかと言うと「タクミさんは異星人」あるいは「タクミさんは異時代人」。

 

どうしてこんなに伝わらないんだろう? と悩むことはしばしばですが、そもそも私が使っている「現代日本語」だとタクミさんの気持ちを表せないのかもしれない。「よろしくお願いします」をうまく英語に訳せないように。「I miss you」を日本語にするとなんだかすごく長い文章になってしまうように。世の中とタクミさんの間には英語と日本語の溝よりももっともっと大きく深い溝があって、タクミさんの思いはどうにもぴったり言葉にならないのではないかしら。

 

タクミさんの中にひろがるもやもやとしたネガティブな思い。「疲れた」「面倒だ」「嫌い」「怖い」「つらい」「寒い」「暑い」「逃げたい」どれもうまく当てはまらない。タクミさんはその嫌な感じを人に伝えられないから手を貸してもらえなくて解決できない。

タクミさんが感じるうきうきしたポジティブな思い。「嬉しい」「楽しい」「おいしい」「好き」「気持ちいい」どうもぴったり来る言葉が見つけられない。タクミさんはそのハッピーを人と共有できないから上手にお礼が言えなかったり一緒に喜べなかったりする。

逆も然りで、相手の言葉も体感できないのかもしれない。タクミさんはこの世界の言葉をそのまま受け取るアンテナを持っていないのかもしれない。

 

だとしたらなんて生きづらいんだろう。

自分とズレた世界に生まれ、ズレた言葉とズレたモノサシを与えられ、その言葉とモノサシを上手に使う教育をされて、そして「ズレてますよ!」という診断をもらい、自分を矯正したり薬を飲んだりして生きていくこと。

 

私には、永遠にわからないのかもしれない。こうやって言葉にしてもタクミさんのことを正確に記すことはできないのかもしれない。

 

だけど、一緒にいることをあきらめたくないよ。そして、あなたと私、完全に理解し合う必要もないと思っている。